船舶PC管理における注意

先日、本船のPC設定に関するトラブル案件がございました。全顧客に周知すべき内容と判断いたしましたのでご報告いたします。ご参考にしていただければ幸いです。

1.トラブルのまとめ

(1)本船PCにおいて、PCソフトウェア上の問題が発生した(問題の詳細は不明)

(2)本船船長がPCに詳しかったので、陸上に報告せず、自力でOSの再導入と各ソフトウェアの再導入を行った

(3)結果、必要な機能は使えるようになった。復旧したことのみ陸上には報告を行ったが、担当者は問題が解決したならOKと本案件をclosedとした。

(4)しかし、Windows Updateが標準でONになっていたため、インマルFを経由した通信が自動的に行われ、月額USD10000を超す通信費が発生した。

(5)請求が発生してから初めて上記の問題が発覚。技術者訪船により上記の内容が発覚した。また、問題発覚まで二ヶ月間を要したため、高額請求は二ヶ月間続き、被害総額はUSD20000以上となった。

2.問題点のまとめ

(1)会社として、船舶PC管理ポリシーがなかった。
このため、船長が独自の判断で修復を試み、さらに陸上もそのような対応を黙認してしまいました。

(2)修復方法が適切でなかったこと
船長が導入したOSは違法コピー版であり、また設定も多くが誤っていました。特に衛星通信に影響がでるAuto Update関連の設定を知らずに対応したのは大きな誤りです。船舶用PCは陸上用PCと異なり、各設定に慎重になる必要があります。

3.本船が取るべきだった対応

まず陸上に報告し、対応の指示を求めるべきでした。本船PCにはリカバリーシステムも組み込まれており、リカバリーを実施していれば何の問題もなく復旧していました。

4.再発防止

(1)船舶PC管理体制の構築
船舶PCを今後どのように運用していくのか、長期間にわたって運用し続けるものですので、管理運用体制をしっかり構築することが肝要です。これには、「初期導入時の方策」「トラブル対応時の手順」「定期メンテナンスの手順」が含まれている必要があります。
未だ多くの船社では、PCは導入したものの、トラブルが起きてから初めて対策するという管理体制を継続しているようです。まだ独自の管理体制を構築できていないお客様には、弊社のN-OASYSサービスをお勧め致します。

 

(2)船舶PC管理規定の制定
次にこれらのルールを明文化することが重要と考えます。そのためには船舶PC管理規定を、SMSマニュアルとして含めるのがもっとも望ましいと考えます。このような規定を設けることにより、本船が独自の判断でPCをいじったりすることを防ぎ、必要な手順の周知徹底を行います。

(3)Webフィルタリングの導入
先にも報告しておりますが、KDDI及びSTRATOSの地上局ではMPDS通信においてWEB通信をフィルタリング設定することが可能です。この設定をすることにより、上記の通信費トラブルを未然に防ぐことができます。申し込み方法に関しましては弊社までお問合せください。

5.まとめ

船舶PCは日ごとに重要性を増しておりますが、明確な管理運用体制を構築している船社はまだ多くありません。ワープロ程度の利用としていた時代であれば、しっかりした管理体制なくとも大きな問題にはなりませんが、昨今のように船内LANが普及し、衛星通信も高速化してくるとさまざまな問題が発生してまいります。また、残念ながら船員や各担当者の理解も充分ではないことが多いようです。

船舶PC管理は決して簡単ではなく、陸上のLANシステム管理と同様にそれなりの技術と管理運用ポリシーが必要であるということをご理解いただければ幸いです。

ORCAはお客様の船舶PC運用管理をさまざまな面からお手伝いいたします。

ご不明の点がございましたらお気軽にご相談ください。

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